ケイト・ブッシュ/円周率(メモ)

生田武志氏が


ケイト・ブッシュが12年ぶりに新作「Aerial(エアリアル)」を2枚組CDで出している。かつての暗く鋭い世界は後退し、生まれたこどもへの愛に満ちた、見たところやわらかさと広がりに満ちたアルバムではある。民族音楽やクラシック、ジャズ、ロックといった彼女が触れてきた多様な音楽が提示され、アルバムのメインテーマでもある「鳥の声」へと導かれていく。
しかし、このアルバムで個人的にもっとも興味深いのは、「π」つまり「円周率」だ。円周率の計算にとりつかれた男を歌い、ケイト・ブッシュがその中で「3.14159265358979323846264338327950288419716939937510…」と円周率を歌い上げていく。かつて円周率を約800ケタ近く暗記し、部屋に円周率6万ケタポスターを張っているぼくのような人間にとっては、この世のものとも思われぬ夢のようなナンバーだ。
そして、この本来まったく無意味な数字の羅列を歌うケイト・ブッシュの声には、かつて彼女が響かせた、地上を越えたほとんど超絶的な美しさが宿っている。ピーター・ガブリエルが「Dont give up」で使おうとした、あの超絶的な美しさである。こうして見ると、穏やかで晴れやかのように見えて、このアルバムも実はかつての「ドリーミング」のような異常さをどこかで抱え込んでいるようにも聞こえる。
ボリス・ヴィアンは「ピアフなら電話帳を読んでも人々を泣かせることができる」と言ったらしいけど、これはある意味それを地でいっている。なんでケイト・ブッシュがこんな曲を作ろうとしたのか、インタビューかなんかで話しているのかな? 
http://www1.odn.ne.jp/~cex38710/thesedays8.htm
と書いているのを偶々見つける。
「なんでケイト・ブッシュがこんな曲を作ろうとしたのか、インタビューかなんかで話しているのかな?」――MOJOに掲載されたインタヴューは読んでいない。但し、Guardianに載った抜粋版*1には”π”への言及はない。



Sweet and gentle and sensitive man
With an obsessive nature and deep fascination
For numbers
And a complete infatuation with the calculation
Of PI


Oh he love, he love, he love
He does love his numbers
And they run, they run, they run him
In a great big circle
In a circle of infinity


3.1415926535 897932
3846 264 338 3279


Oh he does, he does, he does
He does love his numbers
And they run, they run, they run him
In a great big circle
In a circle of infinity
But he must, he must, he must
Put a number to it


50288419 716939937510
582319749 44 59230781
6406286208 821 4808651 32


Oh he love, he love, he love
He does love his numbers
And they run, they run, they run him
In a great big circle
In a circle of infinity


82306647 0938446095 505 8223...
http://www.katebush.co.uk/katebush_html/lyrics.html

Aerial

Aerial