香港の日本野菜とか

上海に戻って、よく読むblogの新着記事をチェックしていたら、日本の農産物の海外輸出が話題になっているらしいことを知る。http://d.hatena.ne.jp/kechack/20070727/p1に曰く、


敢えて、日本産農作物輸出の意味を考えれば、海外での日本産農作物の高い評価が、日本国内での国産農産物の高価格化に繋がる点だ。もう一つは、1990年代に盛んだった農産物の内外価格差に対する都市住民の不満をリデュースする効果だ。海外でこれだけ評価されている日本産は高くて当然だという意識を流布しることにより可能になる。
また、コメントに曰く、

ニュースを斜め聞きしてたイメージでは海外で高く売れる作物を集中的に生産させる農業工場みたいな方向に転換するってサインなのかなって思ってました。稲作も特定地域の高級米に特化して大衆米はタイや米国から輸入する、みたいな。なんか途上国の農業政策みたいだなぁとか感じてましたが、国内的にはご指摘の通りですね。
以前書いたかも知れないが、上海のスーパーで売られている日本の農産品は林檎や梨のような果物が主だ。勿論、最近日本の米の輸入が解禁されて、農林水産省による日本産米のキャンペーンは行われているが。
今回香港に行って驚いたのは日本の農産品、それも果物だけではなく野菜の浸透ぶりである。特に、高級スーパーである「城市超市(CitySuper)」や「崇光(そごう)」*1の地下では日本野菜が売場のかなりの割合を占めている。香港で売られている野菜は基本的に中国産だが、日本野菜はどれもその4倍以上していた。航空運賃とかを考えれば当然かも知れないが。
ところで、日本の米はたしかに美味しい。特に千葉のコシヒカリササニシキは。ただ海外市場ではどうだろうか。これは味の問題ではなく、世界にはインディカを好む文化とジャポニカを好む文化があって、日本、韓国、北朝鮮、中国の北部は後者に属す。問題は、ヨーロッパを含めて、インディカを好む文化の方がマジョリティだということだ。勿論、世界のどこでも寿司の人気は高いが、寿司は(日本を含めて)日常的な食べ物ではない。「大衆米はタイや米国から輸入する」ということだが、米国はともかく、ジャポニカ文化圏とインディカ文化圏の境目にある上海でも香港でもタイの米は高級米として売られているので、こういう発言はタイ人のプライドを傷つけるのではないか。それはともかくとして、タイの米を日本に大量に導入するということは日本の食文化が広東化、或いは東南亜細亜化、或いはヨーロッパ化するということで、それはそれで面白いのかも知れない。ただ、単純に戦前に戻るということだけなのかも知れない。戦前に日本の下層階級が食べていた〈南京米〉というのは中国の南京で作られていたわけではなく、東南亜細亜で生産されたインディカだったからだ。

*1:日本の「そごう」とは資本関係なし。