ひのきみで査定

『朝日』の記事なり;


北海道庁、私学補助金の査定項目に「国旗・国歌」
2007年07月14日15時56分


 北海道庁が今春、道内の全私立高校54校に対し、補助金の査定項目として「国旗掲揚と国歌斉唱の実施状況」の報告を求めていたことがわかった。道内では、道立高校の掲揚・斉唱率が100%であるのに対し、私立は掲揚率66%、斉唱率38%(06年入学式)。私立側は「金の配分権を通じて日の丸、君が代を強要しているようなものだ」と猛反発し、道は今回限りで査定項目から外すことを決めた。

 北海道の私立高校への補助金は、全体の9割を国、1割を道が拠出しているが、実際には道が各校とやり取りをして額を決定している。

 道庁が今回、「国旗掲揚・国歌斉唱」の報告を求めたのは、補助金のうち「特色ある学校」枠の査定。「国際化」「情報化教育」など全17項目の調査の一つとして入学式、卒業式での掲揚・斉唱の有無をたずね、掲揚している場合はその場所を書くよう求めた。

 査定は項目ごとに点数を加算する方式で、例年、「特色ある学校」枠では高評価の学校で2000万円程度交付されるが、低評価だと1000万円程度にとどまるという。

 道は国旗・国歌法が成立した99年以降、随時、私立高に対して掲揚・斉唱の実施状況をたずねてきた。道学事課は「今回は補助金の査定項目に織り込んだだけで、あくまで実態調査だ。これで金の配分を増減するつもりはない」と繰り返す。

 私立側は懐疑的だ。ある校長は「実態把握が目的なら、調査方法を変えてわざわざ査定に組み込む必要があるのか」。教員の一人は「私学の経営にとって補助金は大きい。学校は相当神経を使って報告書を書くのに」と憤る。キリスト教系の学校も「マリア像の隣に日の丸を掲げろとでもいうのか」と反発する。

 ただし、査定のボイコットまでには至っておらず、批判している学校も回答には応じているという。

 近年の道議会では自民党議員が掲揚、斉唱の徹底を道に迫る場面が目立っている。そうした政治的な動きとの関連を指摘する声も上がっている。

 道は当初、調査は正当なものだとしていたが、反発の高まりを受け「私学の独自性に配慮しない無神経なやり方だった」と非を認めた。来年度は査定項目から切り離し、別途調査するとしている。

 文部科学省は「査定に国旗国歌を組み込むことは指示していない。他の都府県での事例も把握していない」という。
http://www.asahi.com/national/update/0714/TKY200707140288.html

そもそも北海道庁の「今回は補助金の査定項目に織り込んだだけで、あくまで実態調査だ。これで金の配分を増減するつもりはない」という説明が、突っ込まれて慌てふためいた効果だとはいえ、論理的におかしいということはいうまでもない。「実態把握が目的なら、調査方法を変えてわざわざ査定に組み込む必要があるのか」という反論は筋が通っているといえるだろう。「私学の独自性に配慮しない無神経なやり方だった」という前に自らの非論理性を反省すべきだろう。
補助金」をエサに脅しをかけるという意図は見え見えなのだが、これをうまいところに目をつけたと褒めるべきなのか、その卑劣さを貶すべきなのか。