欅その他

http://ameblo.jp/takeyan/entry-10009300179.html


http://d.hatena.ne.jp/gordias/20070608/1181229409にて知る。筆者の松本たけひろさんは「和光市議会議員」(「若手・保守系無所属」)。土地所有者に対する過酷な相続税の徴収が都市における「緑」の減少をもたらす云々。その論旨には共感・賛同する点が多い。
私も郊外育ちだからわかるが、住宅地における〈庭付き一戸建て〉の減少は甚だしい。ただ、それは松本氏がいう「相続税」の問題だけではない。例えば、人口の高齢化。年を取って、有料老人ホームに入居するために、土地屋敷を売却せざるを得ないetc.*1。売却されると、〈庭付き一戸建て〉のまま残るということはまずない。大体がそれまで1軒建っていたスペースに2軒か3軒、家がせせこましく建ってしまい、「緑」は消滅してしまう。つまり、土地の細分化と「緑」の消滅を許す再開発の仕方が問題であると言える。また、相続税分として物納を受けた場合、その景観等の保全は物納を受けた自治体側の責任に属するのではないか。
ところで、森岡さん曰く、


一方において、屋敷の庭で立派なケヤキを(結果的に)保全してくれている金持ちがいて、他方において、寝る家のない人や金がなくて病院に入院できない人がいる、というこの状態をどうすればいいのか。

一方から他方に財を再配分し、後者の人々を助けると同時に、ケヤキを都心から消滅させるほうが、弱者に優しい政治だ、ということになるのだろうか。もちろん両方守れればいちばんいいが、どうすればそれができるのか。
http://d.hatena.ne.jp/gordias/20070608/1181229409

多分、最大の問題は私たちの社会というか文化が「財産(property)」と「富(wealth)」の区別*2を喪失してしまっているということである。〈形而上学的ホームレス性〉極まれり。だから重要なのは、如何にして財産の富への還元に歯止めをかけるのかということだろう。そもそも人(法人を含む)がモノを所有するというのが特殊近代的な偏見にすぎないのではないかということを一度は疑うべきだろう。
そういえば、今保坂和志『カンバセーション・ピース』を読んでいる。
カンバセイション・ピース (新潮文庫)

カンバセイション・ピース (新潮文庫)

*1:蔵書家の方の場合は、その過程で蔵書の多くが散逸してしまう。

*2:Cf. http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070321/1174455126 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070206/1170781404