自衛隊による監視活動

http://www.jcp.or.jp/tokusyu-07/19-jieitai/index.html
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-06-07/2007060703_01_0.html


日本共産党によって暴露された「自衛隊情報保全隊」による市民運動等への監視活動を巡っては、


http://d.hatena.ne.jp/good2nd/20070607/1181231631
http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20070608/p2
http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20070608/p3


といった意見を読んだ。
さて、http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20070608/p3で議論されているような「諜報組織」の必要性云々といったことは一旦括弧に入れておく。因みに、「諜報組織」或いは秘密警察について思考すれば、国家というものの存立まで議論が及んでしまう。また、アレントが『全体主義の起源』で議論するように、このことは本国の殖民地化、政府の秘密結社化、国家が公共的なものを代表し得なくなるということに絡んでいる。しかし、このような論点はここでは手に負えない。

The Origins of Totalitarianism (Harvest Book, Hb244)

The Origins of Totalitarianism (Harvest Book, Hb244)

暴露された内容だが、「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」についての情報収集というのは、まあその意図を理解することはできる。イラク派兵というのは、憲法判断も絡んだ問題であり、尚且つ自衛隊の外では賛否両論が争っていた。自衛隊がそのような動向に鈍感な筈はないからである。しかし、「年金」「医療費」「消費税」となるとどうか。自衛隊に味方する人は、そのような大衆運動に(特定の勢力が結びついたりして)国の治安を乱す危惧があるので情報の収集や監視を怠ってはならないのだと反論するのかも知れない。しかし、文書によれば、監視対象となっているのは社民党系、共産党系、民主党系、或いは新左翼系であり、自民党系や公明党系はもとより、治安ということでは重大な意味を持つであろう右翼ややっちゃんとかは監視対象にはなっていない。政治腐敗は大いに国家存立の基礎を揺るがすものであろうが、日本においてはそれが圧倒的に自民党関係に多いということは論を俟たない。ということは、「諜報組織」の必要性云々といったことを一旦括弧に入れるにしても、今回暴露された監視は一方では過剰であり、他方では過少であるといえる。また、自衛隊が〈国家〉よりも〈政権〉に配慮していることは明らかだろう。ところで、いちばん頭に来ているのは警察筋だったりして。他人のシマ荒らすんじゃねぇ!
さて、http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20070608/p2が引く『東京新聞』によれば、共産党の緒方靖夫に追求された久間章生防衛相は、「「マスコミだって写真をパチパチ撮っている。取材が良くて、自衛隊だと駄目だという法的根拠はない」などと反論した」そうな。「マスコミ」関係者はどう思っているのか。