左翼は邪翼

仕事のために中国語の辞書をひっくり返していて、「左」という字がそもそも「よこしま」、「まちがっている」、「相反する」という意味を有していたことに改めて気づく。邪道という意味での「左道」という言葉もあるしね。そうすると、左翼は邪翼か。これは、伝統的中国もロベール・エルツがいう「右手の優越」の文化圏だったということだろう。しかしながら、交通信号の体系も〈反革命〉の嫌疑がかけられていた時代の「左」という字の命運はどんなものだったのだろうか。
左翼は邪翼ということだが、左翼にとってはいいことなのかも知れない。〈正しさ〉からの解放。正しくないことを恐れなくてもいいということだ。
因みに、英語や仏蘭西語のright/droitは正しさの含意があるが*1、漢字の「右」には「上位」という意味はあるものの(「無出其右」、その右に出るものはない)、〈正しさ〉までは背負っていないようだ。だから、「慧眼」と「謦咳」を取り違えても許されるわけか。

右手の優越―宗教的両極性の研究 (ちくま学芸文庫)

右手の優越―宗教的両極性の研究 (ちくま学芸文庫)

 

*1:leftは放置されたもの?