北野武の言葉

『監督・ばんざい』は6月2日から公開なので、観にはいけない。松本人志の『大日本人』も。じゃあ、『パッチギ! LOVE & PEACE』はどうなのか。室井尚氏は、


とても普通の日本映画だった。やはり一作目の「パッチギ」は奇蹟だったのかもしれない。何より駄目なのが脚本だ。次に駄目なのが、役者を変えたこと。あれから売れっ子になってギャラが上がったり、引退したりしたからなのだろうが、魅力が半減した。一作目のキョンジャなら西島秀俊に弄ばされたりはしなかったはずだし、プロデューサーのラサール石井に身体を提供して役を取ったりしないはずだ。すべてにわたって全部中途半端だし、芸能界ネタとサヨク的な反戦アピールが退屈。まあ、もはや青春映画じゃないしね。ということで忘れることにしよう。一作目はまぎれもなく傑作であるのだから、続編が駄目でもそれは帳消しにはならない。
http://tanshin.cocolog-nifty.com/tanshin/2007/05/2_82e8.html
というが。
さて、『R25』の5月25日号に北野武へのインタヴューが掲載されている。曰く、

映画の歴史って100年ちょっとでしょ。へたすりゃ絵はアルタミラとかラスコーの壁画から考えると何千年もあるよね。ルネサンスとか印象派とかキュビズムとかポップとか、じゃんじゃん変わってるじゃない。映画に置き換えるとせいぜいクローズアップとか編集ぐらいしかねえよなあって。で、映画におけるキュビズムなんてことを考えてみるとさ…(p.22)

一回普通に編集しておいてさ、ストーリーをバラすの。エンディングが真ん中にあったり、冒頭があとにあったりするけど、観終わったらストーリーが全部わかって感動するような。『おしん』とか『水戸黄門』みたいに、誰でもわかるようなストーリーでさ。でもそうやって分解するためには各シーンがよくないともたないじゃない。単純なストーリーと魅力的な映像と、入れ替えてもわかるような編集ってのが、新しい映画の形としてあるよね(p.23)