翻訳とレイシズムと責任と

ZOU Qi “Poor label translation sparks anger” Shanghai Daily 24 April 2007


カナダのトロントに住む黒人女性Doris Mooreさんは市内の家具屋でソファなどを含む家具セットを購入した。ところが、ソファの梱包を解いたところ、ラベルに”Color:Nigger-brown”という記述を発見。7歳の娘にniggerってどういう意味なの?と訊かれ、言葉を失ったという。Doris Mooreさんは家具屋に抗議したが、家具屋は納入業者(supplier)の責任だという。納入業者に抗議したら、中国広東省広州にある製造業者に抗議しろと言われた。さらに、製造業者は北京のコンピュータ・ソフト会社Kingsoft Corpに責任を転嫁した。”Nigger-brown”という言葉はKingsoft Corpの中英翻訳ソフトによって出力されたものだった。Kingsoft Corp側は一応謝罪したが、これはプログラムを組むときに参照した(かなり以前の)中英辞典の記述によるもので、2007年の最新ヴァージョンでは既に修正されているという。
Doris MooreさんはKingsoft Corpの謝罪に満足せず、地元のOntario Human Rights Commissionに賠償を求めて、提訴した。同commissionによると、結果が出るまでには6か月から2年かかるという。


Moore reportedly said she was not sure whether to keep the furniture, even with the labels removed. “Every time I sit on it, I can’t help but think of the upsetting incident.”
(政治的にも語学的にも)正しい表現は”dark brown”