馬と犬の国

承前*1

伊藤真理さん*2流にいえば、雲南省は〈豚の国〉ということになるのだろうか。しかし、私の印象では雲南省で動物といえば馬と犬だ。
犬はどこにでもいる。麗江でも大理でも。また都市部でも農村でも。都市部では高そうな犬を買うのがステイタス・シンボルになっているというのはどこでも同じか。「麗江古城」のような観光地でも犬はうろちょろしている。勿論多くの犬は繋がれていない。中国の田舎町では、尻のところが割れたズボンを穿いた子どもがうろちょろしているのが常だから、それと同じように考えればいいのだが、犬が苦手だという人は要注意。農村部では飼い犬率はもっと高くなるようだ。番犬として飼っているのかどうかは知らないが、余所者が入ってきても、吼えもせず、寝転がり続けていたり、尻尾を振ってくる犬も多い。また、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20070415/1176662583でも記したように、夕方になると、農夫(農婦)が牛や山羊を散歩させるというのによく出会すが、牧羊犬として機能している犬はあまり見なかった。なお、犬ばかり目立って、雲南では猫の影が薄いようだ。
麗江では馬は基本的に観光用でしかない。しかし、雲龍*3では急な斜面に家がへばりつくように建っていることもあって、荷物や資材の運搬には馬が頼りだ。ということは、そこら辺に馬糞が転がっているということである。馬糞を踏まずに道を歩くということは不可能に近い。雲龍の石門鎮から5km離れたところに、「千年白族之村」という謳い文句の「諾deng*4」という村がある*5。そこも、急な崖にへばりつくように聚落が構成されている。村の中を行くためには、迷路のように入り組んだ石段の道を行かなければならない。当然疲れる。疲れるのはそれだけではなく、馬糞を除けるのに神経を使わなければならないからだ。ところで、そんな私を後目に、村のガキたちは元気かつスムースに坂を駆け上がったり駆け下りたりしている。その時、アフォーダンスという言葉を思い出した。石段の出っ張りとかへっ込みがガキの脚の裏のある部分をアフォードしているということが成立しているのか。見ると、ちゃんと馬糞も除けている。さて、昆明は大都市であり、上海並の再開発が進行中だが、工事現場の資材運びには馬が活躍している。