スポーツ/文学

藤木直美さん経由で廻ってきたメイル;


第一回 公開ワークショップ「スポーツする文学」のご案内


■企画のことば
 いま、スポーツを個人として楽しむ者は多い。その一方、スポーツのメディア
・イベント化は進行し、選手達のタレント化も進む。スポーツは自身の身体と向き
合う快楽の一つであると同時に、メディアの運ぶ意味と物語に塗り固められた表象
/商品/プロパガンダとしてもある。
 だがその状況は、なにも最近はじまった事態ではない。その祖型は、おそらく
日本に本格的なスポーツ時代が到来した大正末にさかのぼって求められるだろう。
 大正の末から昭和にかけて大衆文化が勃興した季節、スポーツはその愛好者を
増していくとともに、メディア産業の主要コンテンツ=商品となり、人々の見る欲
望の対象となり、さまざまな集団──もちろん国家も含む──の示威手段の一つと
なり、そして諸芸術の新しい表象対象となった。
 この研究プロジェクトは、上記のような大衆文化時代におけるスポーツおよび
スポーツ文化と、文学の表象との交差の諸相を考察しようとするものである。むろ
ん文学の表象がスポーツ(文化)の全領野をおおうものでない以上、このパースペ
クティヴがもつ限界ははじめから存しているというべきだが、一方、スポーツ文化
に付随する「意味」が必然的に言語によるレトリックをその乗り物とする以上、文
学作品および文学研究という切り口でしか見えてこない光景も、やはりあると考え
てよいはずである。
 スポーツする文学は、なにを描き出したか。身体とことばの集うスタジアムに、
さあ出かけよう。
 ワークショップは公開で行います。ご関心のある方の多数のご来場をお待ち申
し上げます。

■ワークショップ「スポーツする文学」要領
日時    2007年4月29日(日) 14:00〜17:00
場所    立教大学5126教室
発表    ・松村良「日本野球の庶民性/求道性」
      ・熊谷昭宏「アルピニストの死と物語
              ──藤木九三の「山岳小説」とその周辺──」
      ・日比嘉高「声の複製技術時代
              ──スポーツ実況放送と活字メディア──」
      ・疋田雅昭「カーニバル化する文学者たち
              ──スポーツ祭典とメディア──」
       *
      ・全体討議 司会 日高佳紀
(略)