当事者の記憶

承前*1

ブックマーク*2にて、Mr_Rancelot*3からお見舞いのお言葉をいただきました。この場を借りて、お礼を申し上げます。
あのエントリーを書いたのは、自分や身内のことが(細部に誤認が混ざりつつ)既に報道されていたので、それを取り敢えず訂正したいということもあったのだが、それよりも自分の体験を自分の記憶にだけ仕舞い込んでおくのは荷が重そうで、客体化しつつ公にしてしまえば気が晴れるかなと思った。しかし、書くことで却って記憶がまざまざと甦ってきたという逆効果もあった(今は大丈夫ですけど)。勿論、コメントを寄せた方々のお言葉が私の気持ちを癒すものであったということはいうまでもない。
ところで、今回の事件の容疑者の顔ですが、こういう奴だったのかというのを認識したのは実は上海に帰ってきて、ネットのニュースやTVのニュースでその顔写真を見てからだ。特に、TV番組では、容疑者が手錠と足枷をされつつも、記者の質問に冷静沈着に答えているのが印象的だった。
今回は犯人がすぐに走り去ってしまったこともあったのだが、私は慌てふためきつつ彼女の手当をするのに忙しく、その記憶は実際のところ曖昧である。書いたものの中にも、細部の勘違いや事後的な想像的埋め合わせがかなり混ざっているであろう。また、時間感覚も狂っていた。時間が尋常ではないほど凝縮したり、逆に弛緩したりしたのだ。状況からの距離を上手く取れないようなアクチュアルすぎる体験をした人の証言の細部が矛盾に満ちていたり曖昧であるということは、今回のことで(自分のこととして)実感した。