やはり『マトリックス』

承前*1

Skelita_vergberさん*2が引用している『読売』のボードリヤール死亡記事についてだけれど、さらなる欠点は『マトリックス』への言及がないということ。勿論、私が引いたNYTの記事ではきっちりと言及されている。ボードリヤール社会学者や現代思想おたくや広告業界を超えて認知されたのはやはり『マトリックス』においてではないか。いくらボードリヤール自身が”misunderstandings”だといおうとも。”Welcome to the Desert of the Real!”という台詞は、スラヴォイ・シジェクが9.11直後に書いたエッセイのタイトルにもなっていた。『マトリックス』への言及抜きでよく『読売』のデスクが原稿をそのまま通したなと思う。
さて、3月8日付の『東方早報』では、タブロイド版1頁、4本の記事を掲載して、ボードリヤールの死を伝えている;


 石剣峰「“歓迎来到真実的荒漠”」
 包亜明*3「包亜明談鮑徳里亜」
 朱其「現代性和烏托邦的悖論」
 張卓編「鮑徳里亜語録」


石剣峰の記事では、「而対普通中国読者、鮑徳里亜也並非一個非常陌生的人物」といい、『黒客帝国』(『マトリックス』)の「歓迎来到真実的荒漠」という台詞はボードリヤールの『模擬和倣真』(『シミュラークルとシミュレーション』)からの「抄襲」、つまりパクリなんだといっている。
包亜明の談話からは、「中国雖然還没有歩入相対富足的消費社会、但消費主義却在社会生活中発揮着越来越重要的主導作用、同時、以電視為代表的大衆伝媒輿大衆文化、也深刻地影響中国社会的未来走向」という一文をメモしておく。
朱其の記事はトラヴェローグ『アメリカ』を巡ってのもの。