「失言」コレクション

承前*1

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20070227/mng_____tokuho__000.shtml


記事の前半は、政治家たちの「失言」を蒐めた備忘録として読むことができる。後半は「人権バッシング」の背景が考察される。それは大方では間違いないのだろう。
ところで、「人権」とは如何にも抽象的である。しかし、「人権」は抽象名詞ではなく、普通名詞だ。抽象的な実体としての「人権」があるのではない。また、(日本語では文法的に隠されてしまうが)英語や仏蘭西語では、human rightsのように常に複数形で表記される。ということは、「人権」ということで先ず思い浮かべなければいけないのは、具体的なあれやこれやの権利なのである。「人権」を「バター」に喩えて具体的な準位に話を落としたつもりなのだろうけど、実はそこで〈制限しろ〉と語られる「人権」というのは抽象的なままだ。「バター」は非可算名詞であって、複数形をつくることはできない。だから、今回のような発言に対しては、まともに応答してはいけないのであって、議論を具体的なこの権利、あの権利という水準に引き戻すようにしなければいけないのだろう。