「九官鳥」

承前*1

會津八一の『自註鹿鳴集』から。
「九官鳥」は昭和15年1月に詠まれたもの。そこから、


いで はてて をのこ ともしき ふるさと の
みづた の おも に とし は き むかふ(p.236)
これに、秋艸道人自ら註して曰く、

この歌を発表したる当時は、反戦思想なりとて、一部より非難ありしものなるも、明治天皇(1852-1912)もかつて「子等はみな軍のにはに出で果てて翁ひとり山田まもらむ」の作あり。深く国を憂ふる者の歌なりと答ふるを常としたり。
また、「斎居」と題した3首のうちの2首;

このごろ は もの いひ さして なにごと か
きうかんてう の たかわらひ す も


こもり ゐて もだせる われ や こころ なく
かたらむ とり に しか ざる な ゆめ(pp.237-238)

自註鹿鳴集 (新潮文庫)

自註鹿鳴集 (新潮文庫)