坪内逍遙

日本近代文学の鼻祖である坪内逍遙は1935年、つまり昭和の世まで生きていた。このことを知らなかったわけではないが、改めて考えてみると、逍遙と昭和という組み合わせに軽い驚きを感じないでもない。
會津八一関東大震災後に熱海の「双柿舎」に坪内逍遙を訪ねたときの歌;


すべ も なく くえし きりぎし いたづらに 
かすみ たなびく なみ の ほ の へ に
(『自註鹿鳴集』(新潮文庫版)、p.143)
自註鹿鳴集 (新潮文庫)

自註鹿鳴集 (新潮文庫)