山口二郎 on domestic colonialism

http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20061120/p1経由で知る。


▼名護では、小説家の目取真俊氏と対談した。最近まで高校教師をしていた同氏は、沖縄の若者を取り巻く絶望的な状況を語ってくれた。


学校では学費滞納による退学者が相次ぎ、既存の奨学金や学費免除制度では追いつかない。経済的自立ができていない若年層での結婚、出産が多く、貧困の悪循環が始まっている。仕事といえば、本州から来る観光客相手のサービス産業における低賃金労働しかない。


▼沖縄で起こっていることは、日本全体の変化の始まりでしかないのだろう。今始まっているのは、国内における植民地主義である。土建開発主義と結びついた国土の均衡という政策目標が捨て去られ、代わりに分権、自立という名の下に地方には窮乏化する自由が押し付けられようとしている。


小泉時代に、親切な政治から冷淡な政治への転換が進んだが、安倍政治への世代交代によってそれはますます加速されている。戦争や貧困を知らない若手の政治家は、生身の人間とはかけ離れたところで抽象的な国益を語り、それに従わない者は身勝手として切り捨てられる。


▼ 今、いじめを苦にした子供の自殺が日本人に衝撃を与えている。実に痛ましい話である。しかし、先の高市発言に示されるように、政治家こそが国ぐるみのいじめをして、それを恥じないというのが現状ではないか。
http://takeyama.jugem.cc/?eid=697

「先の高市発言」すなわち「出来高払い発言」というのは恥ずかしながら知らなかったが、

就任後初めて来県し普天間飛行場を視察する高市早苗沖縄担当相=21日午後、宜野湾市 就任後初来県した高市早苗沖縄担当相が記者会見で、普天間飛行場移設問題と北部振興策を明確に関連付けた。内閣府はこれまで基地建設の進み具合に応じて振興費を支払う「出来高払い」の姿勢を堅持する防衛庁と一線を画してきた。11月の県知事選挙を控えたこの時期に、政府が一体となって移設と北部振興をリンクさせる構えを示したのは、あいまいだった内閣府の姿勢を明確にし、選挙での争点化を図ろうという意図も透けて見える。
 5月の閣議決定で北部振興策の継続が取り消されたことに県や北部市町村が反発。8月に発足した協議会では小池百合子前沖縄相が「円満な形で進行する状況の中でしっかり対応する」とした発言を妥協案として受け、県や北部市町村がぎりぎりの段階で参加を決めた経緯がある。
 しかし、安倍晋三首相は就任後初の所信表明で、米軍再編推進の材料として地域振興策を活用する考えを示した。高市沖縄相の発言はその考えをいっそう鮮明にした。
 V字沿岸案に県が反発し、普天間飛行場移設の進ちょくが停滞していることに対する政府のいら立ちやあせりが、選挙の争点化を図ったと見える今回の発言につながったといえそうだ。
(『琉球新報』の解説。http://www.orangeback.net/?p=80からの孫引き。)
ということだったか。