未履修問題――大阪大学

承前*1

『読売』の記事;


未履修者に阪大“高校世界史”開講…来春から一般教養で
 高校世界史の必修逃れ問題で、大阪大学が来年度から一般教養課程に、「不完全履修者のための世界史」講義を設けることを決めた。

 世界史の未履修者や規定時間数以下の授業しか受けていない学生のために、高校の教科書を使って授業を行い、単位も認定する。文部科学省大学振興課は「今まで聞いたことがない。世界史は高校で学ぶのが原則なので推奨はしないが、大学側の現実的な対応として注目する」としている。

 計画では来年4月、主に新入生対象の一般教養の選択科目として、「ヨーロッパ史」と「アジア史」の2コマを開講する。網羅主義や暗記の強要はせず、歴史のダイナミックな流れと最新の学説を教え、社会人として最低限の知識を習得することを目標とする。

 昨年11月に阪大が高校の世界史教員との共同研究会を結成した際、「必修の世界史を履修させていない学校がある」との情報がもたらされた。そこで新年度のカリキュラム編成に合わせて開設を計画し、今年10月に大学内で正式に認められた。全国的な必修逃れが発覚したのは、その後だった。

 授業設置を提案した桃木至朗教授(東洋史)は、「5、6年ほど前から学生たちの世界史知識の急低下に危機感を持ち始めた」という。当初は入試科目の削減の影響でマジメに勉強していないことが原因と考えていたが、「学生の質が下がったのではなく、そもそも教わっていなかった。それを知った時は心底驚いた。世界史を知らない学生を社会に出すわけにはいかない。教育者の責務として取り組みたい」と話している。

(2006年11月17日 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20061117ur21.htm