何仲儀、そして功徳林

日曜日、南京東路の「頂層画廊(The Room with a View)」*1へ行ったら、前日から澳門の女性アーティスト何仲儀(Joey HO)の個展『観・自在(Liberty of Interpretation)』*2が始まったばかりだった。これは昨年澳門で行われた同名の個展の上海版。「観・自在」って、英語に転換するとliberty of interpretationになるんだ。佛教からの影響ということでは、8月に観た鄭在東*3の画風を想い出しもするが、何の方がずっと混沌としており、鄭では寒色が全面に出ているのに対して、何では第一印象として黄色などの暖色が目立つ。それは何自身が強調している澳門というトポスのためかもしれないし、同じ佛教とはいっても、鄭の場合は禅宗であるのに対して何は密教の色彩が濃いということなのかも知れない。ただ、澳門での型録と見比べてみると、今回上海で入れ替えられ・追加された作品には、「清明上河図内的下半身men(上流社会版)」、「清明上河図内的下半身men(販夫走卒版)」、「快楽彼岸」がある。これらは青を基調としており、その意味では鄭在東の作品の感じに近いのだが、同時に精神分析へのあからさまなアリュージョンがある。
それから、南京西路にある素菜(精進料理)の老舗「功徳林」*4で食事。功徳林の菓子は何度か買ったことがあるし、また先々月はその月餅も買ったが、本格的な食事は初めて。特に美味しかったのは、椎茸の出汁の蓴菜のスープと蟹味噌擬き。鮑擬きは本物の鮑並みのお値段。精進料理、特に中華のそれは徹底的なフェイクの追求である。これは私たちの肉食への欲望を肯定しているのか、それともその欲望との妥協なのか、さらにそれとも徹底的なフェイクを通じて私たちの味覚そのものの脱構築を企んでいるのか。
http://www.singtaonet.com:82/health_drinking/heal_sp/t20051027_28991.htmlは、上海における「素食菜館」の歴史。