拒否の義務

http://d.hatena.ne.jp/good2nd/20060923/1158980242で述べられていることはひとつひとつが正当であって、その大方に同意することができる。特に注目したのは、


「歌うのが嫌なら教師をやめろ」「公務員なんだから国や都の方針に従え」というやつ。これは結構衝撃ですよ。そんなに上意下達が好きなのか。君が代を歌うために教師になったわけじゃないでしょ。「実は人にものを教えるのが嫌でたまらない」とか言うなら、教師やめたほうがいいと思うけど。教師になるなら式典でそういう場面があるのはわかってたはず、という人もいますが、国旗・国歌を、「処分」してでも強要するようになったのは比較的最近のことだし、学校の行事でそういう場面があっても強要されることはなかったわけです。ちょっと嫌なこともあるけど、年に数回我慢すればいいことだし、強要されるなんてことはないだろう、というふうに思ってたんじゃないでしょうかね。

先生のくせにルールを守らないのは子供のためによくない、という人も。だけど今回の事例が言っていることは「不当なルールに従う義務はない」ということです。憲法で保証された自由や教育基本法での「不当な支配の排除」のほうが、ルールとしては上位にあるってことが、理解できていないのではないか。憲法に反するような指導やら命令やらには、従う必要なんかないのです(もちろん今後の裁判では、反してるかどうかが争われるんでしょうが)。ですから「とにかく命令なんだから従え」という人は、一見秩序を大事にしようとしているように見えますが、法の上下関係など無視してしまっているわけです。あるいは、法や政府の通達はすべて正しいはずだと思ってるのか(お上大好きなのか)。

子供にとっても、不当な命令に従う必要がないと教えるのは非常に大事なことです。僕は、それは礼儀なんかよりずっと大事だと思う。

あと、この人達は当然、良心的兵役拒否なんて許さないんだろうな…。

という件。
ここで示された問題というのは、すごく大きな問題に発展してしまう可能性を持っている。アイヒマン問題とかBC級戦犯問題とか。日本国憲法下の公務員ということに限定すれば、天皇及び公務員には憲法遵守義務が課せられている。「憲法に反するような指導やら命令やらには、従う必要なんかないの」だが、憲法遵守義務をシリアスに考えれば、さらに積極的に、「憲法に反するような指導やら命令」は拒否することが要請されているということができるかも知れない。究極的には、公務員は、場合によっては、己の良心に照らして、上司やその業務命令どころか国家に反逆することが義務づけられていることになる。民間企業の従業員の場合でも、企業が不法行為を行い、それに積極的・消極的に荷担した場合、業務命令に従っただけですでは済まない。ここでも服従という悪、拒否の義務という問題が出てくる。