世論調査を巡る言説

http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2006/09/post_5c73.htmlから;


そりゃあ、国民の中には、自分のオツムじゃ何も考えることができずに、テレビや新聞のニュースを鵜呑みにして、「へぇ〜安倍さんてそんなに人気があるのか〜」って真に受けちゃって、「それならオレも安倍さんを支持しとこうかな〜」なんて思ってるようなバカもいるだろうから、安倍の支持率が0%ってことはないだろうけど、それにしても、いくらなんでも、国民の過半数が安倍を支持してるなんて報道は、あまりにも信憑性に欠ける。そんなこと、逆立ちしたってアリエナイザーだろう。

だって、テレビのニュース番組や新聞の世論調査なんて、そのほとんどがデタラメだからだ。いつもお決まりの人たち数百人程度に電話して、その結果をまるで国民の総意のように発表してるけど、あたしは、これほどの情報操作はないと思う。だいたいからして、その電話アンケートの様子なんて誰も見てないし、どこの誰に電話したのかも分かんないし、その回答にしたって、どうにでも改ざんできるじゃん。で、いくらでもインチキできるテレビや新聞の「協栄ジム世論調査」で、「国民の過半数安倍晋三を支持してる」だとか、「国民の過半数が現在の内閣を支持してる」だとか、水槽のクチボソたちがいっせいに口をパクパクしちゃうような大嘘を垂れ流してるけど、こんなもん、誰が信じるって言うの?‥‥なんて思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?

さらに、

‥‥そんなワケで、ヤフーのインターネット投票の「自民党総裁選に投票できるなら、どの立候補者に投票しますか?」ってアンケートを見ると、1位が麻生太郎で「54%」、2位が谷垣禎一で「30%」、そして、テレビや新聞が「ダントツの人気」って連呼してる安倍晋三は、最下位で、たったの「17%」しか支持されてない。たかがインターネットのアンケートだって言っても、9月8日からスタートしたこの投票は、すでに1万人以上もの国民が参加してるんだから、数百人から1000人程度に聞いたテレビや新聞の世論調査よりも、遥かに「国民の総意」に近いと言える。

そして、同じくインターネットの世論調査で、「今の内閣を支持しますか?支持しませんか?」ってのがあるんだけど、こっちは、「支持する」が「21%」、「どちらともいえない」が「16%」、そして、「支持しない」が「62%」だった。テレビや新聞では、現在のコイズミ内閣の支持率が過半数以上もあるって言ってるし、昨日かオトトイの読売新聞の世論調査でも、コイズミ内閣の支持率は「53%」だって言ってた。だけど、この前の8月15日に靖国参拝した以外は、ただの1つも公約を果たさなかったどころか、国の借金を増やすだけ増やして、数え切れないほどの国民を生活苦から自殺へと追い込んだ最悪の無能総理が、こんなに支持されてるハズがない。

それにしても、インターネットの世論調査の「支持する」が、せめて45%くらいあれば、このくらいの差は納得できるけど、インターネットじゃ「支持する」はたったの「21%」で、回答者の3人に2人は「支持しない」って答えてんのに、こんな正反対の結果なんて、あまりにもウサン臭い。ま、自民党の広報誌の「読売新聞」だからジンジャエールっちゃジンジャエールなんだけど、この、実際の国民の感情とは大きくかけ離れた数字を世論調査の結果として発表しちゃう捏造ぶりには、あらためて呆れ返っちゃうね。

問題なのは、インターネットのアンケートの方が信用できるとしている根拠が「たかがインターネットのアンケートだって言っても、9月8日からスタートしたこの投票は、すでに1万人以上もの国民が参加してるんだから、数百人から1000人程度に聞いたテレビや新聞の世論調査よりも、遥かに「国民の総意」に近いと言える」というふうに、〈数の問題〉に還元されていることだ。一般の人の認識というのはこの程度なのだろうか。統計学的には「数百人から1000人程度」のサンプル数で十分なのに、とにかく沢山票を集めた方がエライと思われてしまう。ここでは、サンプリングのランダム性が確保されているかどうかは全く問題にされていない。スプーンで徹底的に掻き混ぜて砂糖をカップ全体に拡散させない限り、珈琲が本当に甘いのかどうかはわからないということである。ウェブでのアンケートは、このサンプリングのランダム性に関しては、そもそも問題にならない。また、政治的なスタンスはどうであれ、こうした問題に元々それなりの関心を持っている人々が回答するということになる。しかし、「国民」というのは(左右のプロパガンダ合戦にも拘わらず)関心を持っている人だけで成り立っているわけではない。全く関心のない人、さらには全く何も知らない人の分も含んだかたちで、〈平均〉としての「国民」は生成される。
だから、取り敢えず、〈平均〉としての「国民」は馬鹿だということを淡々と受け入れることを勧告したい。多分、上のような言説というのは、統計調査に対する基本的な無知と(それはそれで充分に理由があるだろう)マス・メディアへの不信とともに、(同じ日本人として)〈平均〉としての日本人が馬鹿であることに精神的に耐えられないという心情に根差しているかと思われる。
勿論、世論調査に問題がないわけではない。突っ込みを入れるならば、ワーディングの問題とか質問の繋げ方による回答の誘導の問題の方だろう。また、生データを誰でも自由に分析できるように、Excelデータとして公開するよう要求していくというのも重要かと思う。