山口二郎 on 安倍晋三

 山口二郎「極右と民主主義という対立軸」http://www.yamaguchijiro.com/?eid=538


山口二郎氏、安倍晋三及びポスト安倍?を語る。曰く、


安倍は政権構想の中で、憲法改正を掲げた。これを真に受けて心配している市民も多いだろう。しかし、現状では憲法改正を実現することはきわめて難しい。安倍が連立与党の公明党を説得して改憲を発議するだけの力量を持っているとは思えない。まして、民主党改憲論議のテーブルに着くよりも、安倍政権との対決姿勢を強めるはずである。その点は、小沢一郎の政治的冷静さを信頼できる。改憲論議や教育論議は、自民党を束ねるための戦術というものであろう。その点を踏まえて、安倍の改憲論に対して、冷ややかに、かつ徹底的に反論していく必要がある。
 小泉政治によって日本の社会は荒廃しており、安倍政権の前途は、茨の道である。この政権が長続きできるような状況ではない。来年の参議院選挙も、決して容易な戦いではないだろう。もし、安倍自民党が追い詰められれば、民主党に手を突っ込んで、政党再編を画策するかもしれない。集団的自衛権の行使や先制攻撃といったタカ派的な政策については、民主党の中にも共鳴する政治家は存在し、小沢体制の中で傍流に置かれている。安倍と松下政経塾上がりのタカ派が軽挙妄動連合を組むというのも、決して荒唐無稽なシナリオではない。民主党からタカ派がいなくなれば、大いに結構なことである。
タカ派」の「軽挙妄動連合」に対して、「民主派の大連合を作る必要」を説く。
ところで、以前に山口氏の思考に突っ込みを入れたとき*1、山口氏は

一番困るのは、自民党の内部で「振り子の論理」が働いて、例えばポスト小泉にもうちょっと穏健な谷垣(禎一・財務大臣)や福田(康夫・元内閣官房長官)が出てきて、「小泉路線は修正します」などと言い出すことです。自民党が昔の自民党に舞い戻って、自民党型再分配で弱者を抱え込むような政策をとったら、日本の政治は一歩も前に進まなくなってしまう。

 そういう意味では私はちょっと矛盾していますが、小泉には目一杯突っ走ってもらってポスト小泉も安倍晋三みたいな中身の空っぽな政治家(笑)になってもらった方が、日本の政治はよくなると思っている。その方が、「リスクの社会化」路線プラス「アジア協調」、あるいは多極主義=マルチラテラリズムを軸とする対抗勢力が集まりやすい。21世紀の新しい社会民主主義勢力も結集しやすくなると思っている。だから私は立場をこえて、「安倍晋三ガンバレ」と言いたい(笑)。
http://www.bund.org/interview/20060225-1.htm

と語っていた。とすると、現況は山口氏の想定したシナリオ通りということか。