歴史教科書

 陳怡「“文明史”比“歴史”更立体」『東方早報』2006年9月8日


上海の中学*1では、今年の9月から〈新しい歴史教科書〉を使用し始めた。現在中国では中学教科書改革を進めており、〈新しい歴史教科書〉は本年度から上海及び青島で試験的に使用し、2010年度から全国的に使用されるという。
どこが〈新しい〉のかというと、先ず従来の「原始社会到社会主義社会的社会形態史」から離脱して、「文明史」を中心に据えたこと。その結果、戦争や王朝交替や革命についての記述が相対的に減少し、「ビル・ゲイツ、紐育証券取引所、米国宇宙船等の情報革命、産業革命についての内容」、グローバル化における「伝統風俗民情」の変容といった内容が充実されるという。〈新しい歴史教科書〉の編者のひとりである周春生・上海師範大学教授によれば、「用“文明史”的観念来編写歴史教科書、主要是考慮到歴史本身豊富多彩、不是任何一種単一的模式可以概括的」。
第二に、従来の「通史」的構成が改変され、「主題史」が導入された。例えば「グローバル化」とか。
当然、今後も「マルクス主義史学観」は指導理念でありつづけるが、歴史教育における〈脱マルクス主義化〉は明らかだろう。

*1:中国の「中学」は中等教育を意味し、日本の中学と高校を包括し、それぞれ初級中学と高級中学に対応する。高校というと、大学などの高等教育を指す。因みに高級中学3年、日本でいうところの高校3年は、どういうわけか同じように「高三」と略す。