日本史から亜細亜史へ?

『産経』の記事なり;


1都3県、日本史必修を文科省に要望へ

 東京と埼玉、千葉、神奈川の1都3県の首都圏教育長協議会が31日、千葉市のホテルで開かれ、公立高校で「日本史」を必修科目にするよう1都3県の教育委員会が合同で文部科学省に要望することを決めた。各教育長の連名で9月中旬までに文書で要望する。

 文科省の高校学習指導要領では、世界史が必修科目の一方、日本史は地理との選択科目となっており、教育関係者らの間には「自国の歴史を『必修』で学ぶのは当然」との声が上がっている。

 協議会では、神奈川県の引地孝一教育長が学習指導要領の変更を求めることを提案。「国際社会で主体的に生きるため、自国の伝統や文化、歴史を尊重する態度をはぐくむことが必要」と説明、各教育長も同意した。

 千葉県の県立高校135校で現在、3年生の日本史選択率は76.2%。神奈川県では県立高152校の生徒の約7割が履修しているが、2〜3割の生徒は日本史を学ばずに卒業している。

 拓殖大藤岡信勝教授は「国民の基礎教養として高校で自国の歴史をきちんと学ぶことは大切で、今回の決定は卓見。こうした声が全国に広がってほしい」と話した。

(08/31 23:14)
http://www.sankei.co.jp/news/060831/sha092.htm

藤岡信勝のコメントを引用するというのは『産経』らしいということになるのだろうが、それはともかくとして。
中学でも日本史は社会科の歴史の中に組み込まれているし、さらに遡って、小学校の社会科の歴史というのは、日本しか扱っていなかった。私は大学を日本史で受験して、日本史の用語集に赤線を引いたり、一味散々鎌倉幕府滅亡とか以後予算かかる鉄砲伝来という暗記をしたこともあるのだが(但し、これは小学校時代)、小学校や中学校で日本史をやって、さらに高校で日本史をやる意味というか意義がいまいち分からなかったし、今もまだ分からない。つまり、中学的な日本史と高校的な日本史の差異。個人的な事情としては、高校3年のときの日本史の先生がかなり教条的なサヨク*1で、それはそれで記憶に残ったのだが、その「教条的」を除くと、どういう違いがあったのか、ちょっと記憶が薄い。
高校の日本史を中学の日本史から差異化するとすれば、史料の批判的読解という要素を強めるとか英語のテクスト(例えばCambridge History of Japanとか)を使うとか考えられるけれど、そんなことは例えば理系に進学したいと思っている人はやりたくないだろうということで、「必修化」は無理だということになる。
或いは、最近の亜細亜研究の成果を盛り込んだ亜細亜史ということにして、日本史もその一部ということにすれば面白いと思う。どうせ、「世界史」において、亜細亜というのは東南亜細亜にしても中央亜細亜にしても殆ど空白なのだから。

*1:どういう系統の方なのかというのは今でも分からないが、山本薩夫が好きだという映画の趣味を勘案すると、やはり代々木系の人だったのかな。