スケープゴート?

ここ数日間仕事が忙しく、blogの更新をする精神的・時間的余裕がなかったのだが、例のバイト先のお客様の写真を盗撮してMixiの日記に発表した阿呆な岩手大学生の話である。既にネットの世界ではこの話は旬を過ぎてしまった感もあるが、兎も角書く。
騒動の発端となったMixiの日記は、


http://blog.goo.ne.jp/kanataylfc/e/1d10e3b600d3799302c9bb5684b356c8

http://blog.goo.ne.jp/kanataylfc/e/69bc62eb829e4c178fcef2622e363464


に保存されており、それを報じた『産経』の記事は今マークした、


 http://blog.goo.ne.jp/kanataylfc/e/1d10e3b600d3799302c9bb5684b356c8



 http://d.hatena.ne.jp/sean97/20060818/p1


で全文が引用されている。
勿論、これは「人として最低」(赤尾晃一*1ということはいえるし、「今度の事件は本当にひどい」*2ということはいうまでもない。この大学生のやらかしたことを肯定することはできないし、またそんなつもりも全くない。また、この事件については、管見の限りでは、Mixi的なコミュニケーションの問題とか或いはこれが大々的に問題化された某「巨大掲示板」すなわち2ちゃんねるの両義性を論じるとか*3、メディア論やコミュニケーション論として語っている方が多いようだ。
これから書くことは殆ど憶測に基づいている。だから、証拠を示せといわれても困る。
この阿呆な大学生はもしかしたらスケープゴートとして屠られたのではないか。ネットの住人たちは知ってか知らずか、そのお焚き上げの祭を行ってしまった。スケープゴートっていったって、何を贖罪するために? 多分、その大学生を含むコミュニティに空気のように充満していたであろう差別だろう。『産経』の記事によると、「学生のバイト先の近くには、重度の皮膚病治療で名の知られる総合病院があ」るということである。「名の知られる」ということはそこが有徴的(marked)な場所だということである。日常的にそこの「患者」に対して、慇懃で洗練されているかも知れないけれど差別的な眼差しが注がれていたことは想像できる。当の大学生がああいうことをお気軽にやってしまうというのは、友人関係を初めとして、差別がほぼ〈常識〉として定着していたということなのではないだろうか。そうでなければ、(〈良心の声〉とは言わないが)何らかのネガティヴ・フィードバックが介在する筈ではないか。それが1人の馬鹿のおかげで顕わになってしまった。同時に、その馬鹿が集中攻撃を浴びることによって、コミュニティは救われたということなのではないか。
この大学生、自業自得、自己責任とはいえ、突然一挙に居場所を失ってしまったわけだ。バイトも辞めなければならないだろうし、大学にだって行きづらいだろう。或いは、立場が逆転して、今度は自らが「差別的な眼差し」を注がれる身になってしまったわけだ。これに関しては、同情できる。
ところで、盗撮された立場だったらどうしようか。見物料+モデル代を払えと脅そうか。

*1:http://www.akaokoichi.jp/index.php?ID=514

*2:http://d.hatena.ne.jp/itarumurayama/20060818

*3:http://d.hatena.ne.jp/sean97/20060818/p1 この〈両義性〉を巡っての私見を述べれば、仮令そこで〈善いこと〉が言われ・行われたしても、それが〈匿名性の闇〉で為された限りで、〈悪〉が刻印されていると思う。だから、逆説的に言えば、Mixiで自らを曝しながら〈悪いこと〉を言っている馬鹿の方が〈匿名性の闇〉に埋もれながら〈善いこと〉をしたと思い込んでいる輩よりも遙かにましであるといえるかもしれない。