小学生は本を借りているか

桑江さんのblog*1で記事の全文*2が引用されているのだけれど、2004年度に全国の図書館での児童(小学生)1人当たりの借出し数が過去最高を更新したというニュース。「本好き小学生の増加について、同省生涯学習政策局調査企画課は「活字離れが指摘される中で、総合的な学習や理科、社会の授業で与えられた課題に本を使って調べる学習に加え朝の読書、図書館との連携など学校現場の取り組みが功を奏しているのではないか」と分析している」というのが公式の解釈。
http://blog.goo.ne.jp/kaetzchen/e/0425bc05c969c055d9fef7d16eef851fでもこのネタは取り上げられている。尤も参照されているのは『朝日』の記事だが。曰く、


最近の公立図書館にはマンガどころか映画の DVD を置いてある所が多い。反面,『JIS ハンドブック』『日本薬局方』のような真面目な工学書や,「東亜日報」など外国の新聞を置いてる図書館は非常に少なくなって来た。

 結論から言うと,小学生が図書館で借りた本は活字の本ではない。マンガなどの「娯楽本」が殆どなのだ。

 似通った記事が読売新聞にも出ていたが,朝日新聞と同様,借りた本の「質」については全く触れていない。ましてや,「朝の読書」「郷土史調べ」くらい,学校の図書室で十分に間に合う。つまり,これらの記事はどちらも「読書離れ」という事実を覆い隠そうとしている,でっちあげだと断定することができるのである。

ただ、桑江さんのMixiの日記のコメント欄には、

本を読めない子はマンガも読めません(遅いし、集中力が続かない)。マンガを大量に読める子は本も結構読めます。なので子供にはマンガでもいいからガンガン読ませましょう(笑)。
という意見もあるので、この意見を丸飲みする必要はない。
ほんとうに重要なこととは、この調査では明らかにされないだろう。ここで言われている1人当たり「18.7冊」というのはあくまでも平均である。マクロなデータにおいて重要なのは、単純な算術的平均ではなくて、寧ろ最頻値や中央値であろう。例えば、平均収入がいくらいくらといったって、少数の突出した金持ちがいれば、平均値などすぐに上がってしまう(逆のこともいえるだろうけど)。実際にみんながどのくらいの収入を得ているのかを知るには、最頻値を見るしかない。本の借り出しだって同じである。そこから、様々な社会問題に接近していくことが可能な筈なのだろうけれど、残念ながら調査の性格上、それも叶わない。だから、勿論「でっちあげ」と罵倒する必要もないけれども、こういう話は話半分に聞いておいた方がいいと思うのだ。
ところで、私の小中学校時代には、〈情報検索〉としての図書館利用なんていう発想はなかったし、そのようなものとして教えてくれる先生もいなかった。私は小学校では一応〈図書委員〉を務めていたのだが。図書館というのはあくまでも面白そうな本を読む場所にすぎなかったのだ。