やはりこういうことは起こってしまう

承前*1


http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20060708/p1にて知る。
それぞれ、『朝日』と『読売』の記事;


朝鮮初級学校1年男児、男にたたかれる 大阪・生野区
2006年07月06日23時26分

 6日午前8時20分ごろ、大阪市生野区田島2丁目の路上で、生野朝鮮初級学校1年の男児(6)が、自転車で近づいてきた男にすれ違いざまに平手で首の後ろを1回たたかれた。男児にけがはなかった。男はそのまま逃走した。生野署は暴行事件として捜査している。

 調べでは、男児は制服姿でランドセルを背負い、同じ学校に通う6年生の姉と一緒に集団登校の集合場所にいた。男は40歳くらいで、ピンク色のカッターシャツに黒色のズボンだった。

 同校の李英敏校長は「ここ数年、児童を狙った暴行事件は起きていなかった。昨日の(北朝鮮ミサイル発射の)影響と思わざるをえない」と話している。
http://www.asahi.com/national/update/0706/OSK200607060134.html


登校の朝鮮学校生 殴られる 豊明
中年男に ミサイルで嫌がらせ?

 愛知県豊明市の愛知朝鮮中高級学校に通う男子生徒が、中年の男に殴られる事件があったことが7日、分かった。

 県警愛知署などによると、同日午前8時ごろ、同市栄町の路上で、1人で歩いて登校していた2年生の男子生徒(14)が、前から歩いて来た男に、罵声(ばせい)を浴びせられながら、顔を1回殴られた。男はそのまま逃走し、同署で暴行容疑で調べている。

 同校によると、男は50歳くらいで身長約1メートル70。黒いポロシャツに茶色っぽいズボン姿だった。

 同校には、北朝鮮のミサイル発射以来、嫌がらせ電話が相次いでいた。校長は「(ミサイル発射は)私たちには関係がない。弱い立場にある生徒をいじめないでほしい」と話している。
(2006年7月8日 読売新聞)
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/060708_3.htm

犯人にしてみれば、物理的にも社会的にも道徳的にも〈狙いやすい〉ところを狙ったということなのだろうか。また、Arisanさんの「こういうことをする人自身が、社会のなかで不満をぶつける正当な手段を持たない弱者であるということは、おうおうにしてあることである」という指摘も傾聴に値する。
ところで、これらの事件に対して、日本政府筋はどのような反応を示しているのだろうか。今回の所業にとどまらず、北朝鮮という国家は国際的に徹底的に糾弾されて当然である。しかし、北朝鮮という国家を糾弾する者(例えば日本政府)は、北朝鮮による蛮行を許さないのと同時に、朝鮮人への蛮行も許さないということを明確に示さなければならないだろう。勿論、現代社会において、政府が何か言ったからといって、それが社会的空気にどれほどの影響を与えるのかどうかというのは疑問ではある。ただ、いわないよりはましであろう。また、政府がレイシズム的実践を抑制することができる暴力装置を警察力として保有していることも事実であろう。
勿論、暴力を正当化することにはならないが、関係者の官僚主義的な応答も人を苛つかせるには充分であるということは申し添えておこう。そういうのは、組織の人間は辛いよねという同情を喚起するかもしれない。しかし、例えば『読売』の記事にある「(ミサイル発射は)私たちには関係がない」と語る「校長」に対してだって、(組織人としてではなく)あんた個人としてはどう思ってるんだと問うてみたい気にはならないか。