『毎日』の記事なり;
「痴漢」というのは匿名的なもの。名前や身元は勿論、顔でさえばれたら、そこでお終い。被害者に犯人の人格の痕跡が残ることもない。被害者を蹂躙するのはあくまでも匿名的な手である。人格を欠いた匿名的な手。主体さえ定かでない欲望。ばれない限りは。匿名性の闇に生きる者ども。ほかに考えつくのは、特務(秘密工作員)であり、贋作画家(最大のベストセラー版画である紙幣の贋作者も含む)か。前者の場合は、その匿名性はその属する国家の栄光によって補填されるのだと(少なくとも思い込まれている)のかも知れない。特務にせよ贋作者にせよ、それがgood jobであればあるほど、これは俺の仕事なんだと公共的に主張したい欲望に駆られるのではないか。下手な仕事であれば、その下手であること自体において、匿名性は破綻し、その下手さ加減が署名としての機能を果たすことになる。そこで、贋作の中に署名とは一瞥では気付かれない仕方で署名が埋め込まれることになる。川畑清史にとって、「メールアドレスが記されたメモ」というのは、その密かな署名なのか。匿名性の闇から抜け出して光を浴びたいという欲望。
<痴漢>女子高生触った大学生逮捕 メールアドレス渡す電車内で女子高生(17)の体を触ったとして、神奈川県警麻生署は5日、相模原市若松6、私立大4年、川畑清史容疑者(21)を県迷惑防止条例違反(痴漢)の疑いで逮捕した。自分の携帯電話のメールアドレスを書いたメモを女子高生の服にはさんでいたことから特定された。容疑を認め、「自分の好みの子だった」と供述している。
調べでは、川畑容疑者は6月20日午前7時40分ごろ、小田急小田原線町田―新百合ケ丘駅間を走行する上り急行電車内で、スカートの上から女子高生の体を触った疑い。女子高生は「この人痴漢です」と叫んで手をつかんだが、川畑容疑者は新百合ケ丘駅で下車し逃走した。
女子高生は19日にも同様の被害に遭い、この際にスカートとシャツの間にメールアドレスが記されたメモがはさまれていたことから同駅員に相談。通報を受けた麻生署はアドレスから川畑容疑者を割り出し、5日朝、自宅前で逮捕した。【吉住遊】
(毎日新聞) - 7月6日3時6分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000006-mai-soci
以上はたんなる妄想であって、実際はたんなる間抜けか、或いはナンパと痴漢の区別ができないということだろう。ともかく、匿名性の闇から抜け出せたことは感謝しなければなるまい。