スターリン

『産経』の記事なり;


スターリン復権か “独裁者遊園地”建設順調

 【モスクワ=内藤泰朗】ソ連の「赤い神」として君臨した独裁者スターリンの殿堂を今夏、ロシアのシベリアに開く準備が進んでいる。この“独裁者遊園地”とも呼ぶべき「スターリンランド」の建設は、地元の旅行業者が観光の目玉にしようともくろんでいるとされるが、プーチン政権がお墨付きを与えているスターリン復権運動とも重なってみえる。

 ロシアの日刊紙イズベスチヤなどによると、「スターリンランド」構想が持ち上がっているのは、若き革命家スターリンが帝政末期に流刑に処されていたクラスノヤルスク地方トゥルハン地区のクレイカ村。地元で旅行会社を経営するポノマリョフ氏が最近、州都クラスノヤルスクで開かれた旅行博覧会で、州都から約1800キロ離れた同村にソ連時代に建設され、その後放置されてきたスターリン廟(びょう)を復興させると発表したことから明らかになった。

 この廟は、スターリンの偉業を誇示するために、存命中の1940年代後半に着工し、50年代初めに完成したが、スターリンの死後、独裁者の個人崇拝を批判したフルシチョフソ連共産党第一書記によって閉鎖された。高さ10メートル、広さ400平方メートルの廟は、ロシア最大級のスターリン関連施設だという。

 ポノマリョフ氏はすでに、高さ3メートルのスターリン像の建造を発注。8月にはオープンにこぎ着けたい考えだ。さらに、スターリンがエニセイ川沿いで暮らした丸太小屋を復活させ、当時の生活の様子を再現するなど、順次、施設を拡張し、「スターリンランド」とする計画だ。地元政府の承認も得たという。

 計画推進派は「政治的な意図は一切なく、純粋なビジネスである」と強調するが、民主派からは「ドイツでヒトラーランドが建設されるのと同じで、あまりに不道徳な計画だ」と反発の声が上がっている。

 ロシアでは、血の大粛清を主導したスターリンを、大祖国戦争(第2次世界大戦のロシア側呼称)を勝利に導き、超大国を築いた「偉大な指導者」として、その業績を再評価する動きが進んでおり、同計画もスターリン復権への一歩といえそうだ。

スターリン復権の動き≫


 ロシアでは、血塗られたスターリンの功績をたたえ復権させようという動きが急速に進行している。超大国への復活という願望が高まり、ナチス・ドイツに勝利しソ連の国土を史上最大に広げたその功績を再評価しようという声が強くなっているためだ。肖像や関連施設の建設だけでなく、スターリン関連のテレビ番組やイベントも企画され、強国復興を目指すプーチン大統領も「全体主義との戦いに勝利し世界を救った強い指導者」としてスターリンを評価している。

(04/27 01:43)
http://www.sankei.co.jp/news/060427/kok011.htm