ID

http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20060424/p3を読んで、「川崎市の教育を考えているらしい方」の記事*1を知る。
インテリジェント・デザイン理論(ID理論)」と題して、『産経新聞』による「渡辺久義・京大名誉教授」へのインタヴューが紹介されている。
生物学のパラダイムを巡る争いについて、大学の「名誉教授」にインタヴューするのだから、インタヴューされる方というのは生物学者、或いは科学哲学者だと思ってしまうのは自然だろうと思うけれど、この渡辺という方は英文学者、orz.それから、「「知的存在」が人間を作った」という『産経』の見出しも(これは後段で言及される「道徳教育」云々の伏線なのかも知れないが)〈違う〉だろう。進化論だろうがIDだろうが、問題なのは「人間」ではなくて生物だからだ。また、このインタヴューを読んでも、「素人」(渡辺教授はそう自称するが)はID理論ってなんなのかは全然わからない。
ところで、ID理論は、その提唱者たちが宗教臭さをいくら隠そうとしても、それがコスモスの外にあってコスモスを創造する一者=神を考える〈アブラハムの宗教〉を背景としたものであることは、「素人」の目にもはっきりとわかる。普段は〈アブラハムの宗教〉と日本の宗教伝統との違いを殊更に強調する人がID理論に惹かれるというのは興味深い。誰か、これを〈漢意〉として斥ける〈国学者〉はいないものか。
なお、上の記事には、ID理論を称揚する「創造デザイン学会*2へのリンクあり。

また、本場?のID論者たちによる〈弁明〉的なテクスト;


Casey Luskin
“Intelligent Design Theory and the Relationship Between Science and Religion”
http://acs.ucsd.edu/~idea/idscireli.htm

これは「科学」と「宗教」との関係について。


William A. Dembski
“Intelligent Design is not Optimal Design”
http://www.leaderu.com/offices/dembski/docs/bd-optimal.html

Casey Luskin
“Good Theology and Bad Design OR Bad Theology and Good Design? A scientific and philosophical assessment of supposed "poor Design" examples in the natural realm”
http://acs.ucsd.edu/~idea/badtheolgooddesn.htm

進化論者とID論者の争点に、〈デザインの最適性〉がある(例えば、グールドが指摘した〈パンダの親指〉問題)。これは神学的には〈悪〉の存在論と関係しているということを知る。