今も昔も「脳」の話

猿虎さん*1フランツ・ファノンを参照して、


 ところで、現代日本において、若者の犯罪の増加、凶悪化、などの「事実」を指摘する言説は(多くの人がそうした「事実」は実際には存在しないと指摘しているにもかかわらず)多い。また、また、若者の無気力、怠惰などを、最近の若者の「世代的特徴」として指摘し、それを「科学的に」説明する「学説」もある。たとえば、2000年に出版された著書の中で、日本のある脳科学者は、電車の中で平然と化粧をする若者は前頭連合野が未発達であり、「一種の脳機能障害」である、と主張した。また、別の脳科学者による「ゲーム脳」理論も、現代の若者の問題を前頭前野の機能障害として説明する。こうしてみると、それらの学説は、被植民者の「民族的特徴」を「科学的」に説明する50年前の「アフリカ脳」理論のほとんど焼き直しであることがわかる。
そういえば、かなり昔にレヴィ=ストロースの読書会をしたときに、結局レヴィ=ストロースは何をいいたいのかということで、未開人は馬鹿じゃないってことをいいたかったんだと言った人がいて、それはそうなんだけれどおいおい、と思ったことがあった。