Diana Lui

土曜日、上海美術館で陳箴の作品を観終わって、それからバスに乗って、東大名路へ向かう。実は外灘を越えるのは、つまり外白渡橋を越えるのは初めてである。目的地は東大名路713。とはいっても、目的地の少し手前でバスを降りてしまい、1キロばかり歩く羽目に。外灘のすぐ近くだというのに、どことなく東京都大田区的な寂寞さ・荒涼を感じてしまう。東大名路713。6階建ての古い煉瓦造りの(元)倉庫。昼でも内部の階段は暗く、夏ならばさぞや涼しさを感じるだろうなと思う。3つのギャラリーが入居している。そんな建物の1階に、黄色いポルシェが駐めてあるのも不思議といえば不思議。
5階の「亦安画廊(aura gallery)」*1に行く。Diana Luiの”Trees, Individuals, & Sexuality”。 Diana Luiはマレイシア生まれの華人女性。現在は巴里を拠点に活動。Diana Luiの作品はコントラストの強いモノクロ写真。タイトル通りに、世界の様々な土地に於ける、様々な人間、樹木、セクシュアルな関係の型録のようだ。但し、展示はindividualsが中心で、treesやsexualityは少ない。これはこの型録が生成の途上というか未完成であることを示しているのではないかと思う。Individuals、全ての写真についいて、名前、年齢、職業、国籍が記載され、エスニックなオリジンが附せられている場合もある。Sexualityについても同様。とはいっても、そのようなwhatに関する情報は分類のためではない。肝心なwhoを際立たせるためのもの。上で型録と書いたが、whatの型録ではないので、最初からこの型録は完成不可能であることになる。その写真の質というのは、ポスターに使われている(また、画廊のサイトに掲載されている)旗を持ちながら直立しているイスラエルの女性パフォーマーの写真を観るだけで明らかだろう。
それから、ある日本人カップルと落ち合い、何時間もノイズ音楽に浸ることになるのだが、これについてはまた後日書くつもり。