説明責任その他

中国(上海)ネタではなく、日本に関する時事ネタを書くと、何故かブックマークが増える。
さて、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060303/1141413883について再確認しておくと、私が言いたかったのは、説明責任ということである。たしかに、「私立」なのだから、誰を合格させて誰を不合格にするかというのは〈裁量〉の範囲だという論も成り立つだろう。それを取り敢えず認めた上で、それによって不正義を被ったというクレイムがある以上、それに関して止むを得ない事情を説明して、納得してもらうように努めるべきだということだ。
dankogaiさん*1の意見は、〈法の精神〉からすれば正論である。しかし、社会生活の隅々まで〈法〉によって支配されているわけでもないし、そうあるべきでもない。私が言ったのは、〈法〉の手前で何とかしろということである。納得を得られるように説明し、それでも埒が開かなかったら、金で決着しろということだ。民事裁判というのは、超越的に法的な是非を明らかにするというよりも、そもそもそのような当事者間の交渉に第三者的に介入し、紛争の落とし所の発見を促すという機能を有している筈である。
さて、partygirlさん*2の意見は、まだお若いのに、諦念に満ちていますね。曰く、


松本被告の子供は、確か前にも次女が合格を取り消されてる。

それも大きな社会問題になった。

親が殺人犯だからといって、それと無関係な子供に、そういう

社会的な差別を加えるのはどうかってね。


でも、これ意地の悪い言い方をすれば、松本被告の子だから

注目してもらえるだけで、私立中学なんて成績以外の色々な

理由で、勝手に入学を断られることはあると思う。


入学が決まってから取り消されるのは確かにひどいけど、

入試の時に、こっそり成績以外で振り分けられるのは

問題ないのかというと、それだって本当は問題だよね。

はっきりとわからないから文句が言えないだけで。

この一節だって、単純には解釈できない問題を含んでいる。例えば、「こっそり」と落とされている以上、真相は分からない筈なのに、自分は正当ではない仕方で排除されたと考えている人がけっこういそうだということ。ただ、公平を期すべく付け加えれば、自分の不幸を外部に帰属することは、人格の安定や保護に寄与するということはいえると思う。それはともかくとして、「こっそり事前に調べて、不合格を出すのは「あり」だと思う。/だってそれが私立だから」ということだが、それでも説明責任からは逃れられないな。もし事後的な説明という面倒がいやならば、入試要項の段階で、オウム関係者受験禁止、シングル・マザーの子ども受験禁止etc.と明示すべきだろう。そのように明示することによって発生する別のリスクもクールに引き受けた上で。
ところで、

親や祖父母まで調べる私立は存在するし、それがあるから

高い月謝を払うという親もいる。

問題を起こしたら、即退学という私立もある。

成績不良なら留年させることで結果として退学に追い込む

高校もある。

受け皿は公立。


自信を失ったり、自暴自棄になった子を、断る権利は公立には

ない。荒れた子に授業を妨害されても、公立の子はどうにも

ならない。

もちろん、公立でうまくいかなかった子を丁寧に見る私立も

あるだろうけど、簡単に切る私立は多い。

という箇所は論点がずれているような気がするけれども、重要な指摘かと思う。新自由主義というのは、恥部というか尻拭いなしには機能しないということだ。