アメフトではなくて「アメフット」

 承前*1
 

 小川信、松田栄二郎、奥野敦史
 「京大元アメフット部員:女子大生2人に集団暴行、3人逮捕」
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060127k0000m040076000c.html

 奥野敦史、鶴谷真、太田裕之
 「京大元アメフット部員:婦女暴行 監督「人間として失格」」 
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/photojournal/news/20060127k0000m040093000c.html

 「京大アメフット元部員:集団暴行で逮捕 関係者に衝撃」
 http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/feature/news/20060127k0000m050122000c.html


 先ず、アメフトではなくて、「アメフット」が(少なくとも『毎日新聞』にとって)正しい日本語なのですね。
 それから、「文武両道」という表現が使われていますけど、(時代劇以外で)こんなのまだ使っていたのですね。それにしても、かつての「武」と〈スポーツ〉というのはそのまま対応するものなのだろうか*2。対応すると思っているからこそ、使っているのだろうけど。
 なんばさんは「偉い人ってなんでトンチンカンな事ばかり言うのか」と言っている*3。なんばさんが言及している2氏については触れないが、「関西学生アメフット協会」の平井英嗣理事長は、「私はスポーツを通して謙虚さや誠実さを育てることを各校にお願いしてきた。それと180度違う事態なので、もう一度、そのことを訴えていきたい」と言っている。「スポーツ」をすると「謙虚」で「誠実」な〈いい人〉になることが(ごく自然に)前提とされているように感じる。この前提は多くの人に共有されているのかも知れない。だからこそ、旧帝国大学たる「京大」というファクターはあるわけだが、この事件はニュース・ヴァリューありとされているわけだろう。また、だからこそ、「関係者に衝撃」が走るわけだ。その前提を考慮しなければ、馬鹿がやっちゃいましたけど、偶々「アメフット」をやってましたということで済ませられる筈だ。
 それよりも凄いと思ったのは、京大「法学部4年の男子学生(22)」のコメント。「大学のイメージが損なわれる」とのお言葉で結ばれている。被害者によりも「大学」に配慮する愛校心! 学長表彰もの?
 ところで、なんばさん曰く、「視野の狭い人が「暗黙の合意」をアテにして事に及んではいけないという話」。これは、私の「ネガティヴ・フィードバックのない状況、社会関係というのはやばそうだ」ということと通じるか。

*1:http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060128/1138470068

*2:実は、そこには妙な近代主義的ツイストが入っていると思う。江戸時代にあったのは〈武術〉なのであって、〈武道〉と呼ばれたのは近代以降の筈だからだ。

*3:http://d.hatena.ne.jp/rna/20060129/p1