陳長偉その他

 21日午後、外出すると雨のようだが、液体ではなく固体。つまり雪のようだ。バスに乗って、衡山路の超豪華マンションの一室にある「対比窓藝廊(Contrast Gallery)」*1へ行く。陳長偉の個展「延伸(Life)」を観るためなり。
 陳長偉の、ラッカーを塗ったファイバーグラスの作品は、どれも英語のタイトルにあるように、「生命」をテーマにしているといえる。それも異種の生き物たちの交媾によって産出されるキメラとしての「生命」。例えば、静謐かつユーモラスな”Married”のシリーズとか。英語の”Life”に対して、「延伸」。”Married”が不整合性を含みつつも既に生成してしまった「生命」だとすると、直接的にエロティックであるともいえる「生命樹(The Tree of Life)」シリーズは、これからその「延伸」として「生命」が生成していく途上を感じさせる。さらに、タイトルの附されていない、泡立つような物体を表現した作品がある。東洋思想の言葉を使えば、〈無〉或いは〈太極〉。未だ「延伸」せざる状態。
 それから、M弁護士*2と会うことになり、建国西路の「8号橋(The Bridge 8)」で待ち合わせ。「8号橋」は新たに開発されたオフィス・コンプレックスで、デザイン系の事務所やショップが入っている。土曜なので、1箇所を除いてあまり人はいない。
 that’s Shanghaiの1月号に、Rebecca CATCHING ”The Invisible Man”(pp.38-39)という記事があって、そこに掲載された数葉のモノクロ写真に惹かれてしまった。その直前に観た森山大道の写真の印象*3も重なって。それは銭〓*4氏の作品であるのだが、その銭氏の個展が開かれるBackyard Caféというのが「8号橋(The Bridge 8)」の中にあり、当日はそのオープニングだったのである。オープニングの人混みを掻き分けながら、写真を観て回ったのだが、とにかくその写真のインパクトは凄い*5
 それから、2軒先のL’ Aroma Café Barで休憩。最初は珈琲を飲むつもりが、M弁護士がワインを飲みたいと言いだす。店の人によれば、赤ワインとスパークリング・ワインがあり、スパークリング・ワインはグラスで50元だが、ボトルは幾らかわからないといい、笑福亭鶴瓶に似た老板を呼び出す。老板曰く、スパークリング・ワインのグラス売りは駄目だという。当然である。店の人がスパークリング・ワインをグラスで売っていたら、其の後どうなったかは知らず。赤ワインだが、グラスで30元、ボトルで180元だという。なので、珈琲はやめて、私たち3人でワインのボトルを開けることにする。老板は〈世界でいちばん美しいお母様〉の自慢を私たちにも、窓側の席に座っていた日本人観光客にもしだす。老板と元従業員らしき男が喧嘩し始めたが、喧嘩が一段落した時分に、私たちも店を出て、歩いて新天地へ。